【Newspicksイベントレポート】社長の条件

先日、Newspicksのセミナーに参加し、「社長の条件」をテーマとした冨山和彦さんの講演を聞いてまいりました。

こちらの内容レポートを情報共有します。


面白かったのは、冨山さんの対談相手である日立の社員が聴衆として参加しており、会社の問題点等を冨山さんに質問し、冨山さんのviewを直接聞けましたことです。


●社長が持つべき資質・能力
・社長の仕事は決断すること。とにかく決断力が必要だが、決断力は次の3つから成る:
 アジェンダ設定力:どの事業をやめるか、等。現場から決して上がってこないアジェンダを設定できるか。日本企業は間違いやすい(例:ファブレスの活用)
 ②的確性:合理性に基づき、「どれにするか」を選ぶ(それをしちゃうと現場の元気が。。みたいな意見を無視しなければいけない。得てして杞憂)
 ③適時性:その意思決定をいつできるか?
 (現場の評判が良い社長はヤバイ←決断できないから)

・政治力:機関決定と機関実行
 +政治力がないと、意思決定できない。反対する人を説得、だまくらかす
 +政治力=人間力、人に対する目利き力
 +政治力がある社長は、イベントを利用する。(例:リーマンショックの際にどさくさに紛れて改革する)

・合理(決断力)と情理(政治力)の衝突に耐え、現実と理念の相克を超える権力者としてのタフネスと「哲学」を持ち合わせるのが、真の経営者
 +改革しようとすると、よく「組合が強いんで。。」と言い訳するが、実際、組合は大したことない
 +JALの際も「飛行機落ちますよ」と組合から脅されたが、落ちなかった。ガチで行けば何とかなる。雇用さえ担保すると言ってやればOK
 +そのような「衝突に対する勇気」を持っているのが真の社長
 +逆に、日本企業は危機の時、「何もしない、普通の」社長を選ぶ。こんな人に、「痛みの伴う改革」ができるわけがない
  例:急に電車で通勤する、社員食堂で社員と一緒にご飯食べる。。みたいな社長

・結果=決断力 x 実行力
 +日本企業は「実行力」がある社長が多く、「決断力」がある社長が少ない
 +「決断力」が間違っていると、なまじ「実行力」があるから、被害が拡大する
 +「決断力」=ドライバー使う?アイアンで行く?、「実行力」=各クラブを上手く振る技術

・本当は、社長は超ストレスフルで過酷。とにかくメンタルがタフでないとやっていけない
 +自分はこれまで100人以上を社長にしたが、1/3くらいしかまともにworkしなかった
 +1/3はストレスでメンタルがつぶれた
 +社長の家や、自分の家に脅迫状が届くなど、かなりこたえた(リストラや事業売却の恨み)
 +それを楽しめるアドレナリンが出るくらいでないと、社長は務まらない

●社長の選び方
・ガバナンス=どうやって良いCEOを選ぶか
 +今の経営がうまくいっているかどうか、などは本来ガバナンスの対象ではない
 +徹底的に冷徹に、最高のCEOを選ぶのがガバナンス

・合理と情理のバランスの良い人材を選ぶのが基本。どっちかに偏っていてはだめ。

●社長の育て方
・少なくても5-10年かかる。しかも、Operational な仕事だけやっててはだめ。他方、組織の仕事の大半はOperational→ (野球してたのに、社長になったら急にサッカーやれ、と言われる感じ。中西、川村は元々サッカーできた)

・Operationalな経験はせいぜい10年でよく、20年くらいはリーダーの経験(意思決定するチャンスがあるポジション)をさせる。そうすれば50歳くらいの良い社長を育てられる。そういうキャリアを歩めない会社であれば、早く辞めた方がいい

・では、どんな会社にいけば、リーダーになる良い経験を積めるか?
 +ベンチャー(創業期)
 +PEの投資先の経営者
 +つぶれそうな会社の経営者(再建させる)←失敗しても、キャリアの×にならない

・「30代前半で社長候補を選んだら、他の人がdiscourageされるのでは」とよく言われるが、ウソ
 +社長の道は険しく、選ばれた人には過酷な人生が待っている。タフアサインメントばかり。実際は、あまりうらやましがられない
 +それ以外のOperational系の人は、常務くらいまで昇進させてあげる。それでハッピーだと思う
 +社長になるか、常務まででOKか、早めに選ばせてあげるイメージ

●社長に向いている人
・リアリスト
 +ビジョナリと言われる稲盛さんも、超リアリスト。ケチでせこく、儲けにうるさい
 +神様と呼ばれている経営者は、大体、「銭ゲバ x 敬天愛人」が混在する人
・冷たい!と批判されても耐えられる
・理念実現の前に、まずは金を冷徹に稼げることが大事
・情理がある人→人間に対してpositiveな関心がある人

●どうやったら将来社長になれる優秀な人材を引き付けられるか
・正直、金ではtop talentは引き付けられない
・今、global のtop tier talentを引き付けるためには「Change the world to better place」のストーリーが必要


●日立で外国人社長はworkするか?
・正直難しい。なぜなら、情に流されてはだめだが、情を理解しないと失脚するので。←合理だけでは経営できない
・社内の情理を理解するのに、4-5年かかる。
・米国でも、いきなり外から社長を持ってくるのはあまり例がない。
・ゴーンさんがうまくいったのは、非常時だったから。平時になったらやはり失脚した。情理が足りないとNGな証左

東芝は再生できるか?なぜリーダーが内部から出てこないか?
・優秀な人材は一杯いたが、派閥争いして内部で消耗してしまった
・車谷さんが来て改革しているが、根が深い。時間がかかる。日立の時のような本質的な危機がないので難しい
パナソニックも何度も変革しようとしたが、10年くらいかかってる。ましてや、明治維新でも安定するまで20-30年かかった
・本質的な変革とはそれく来時間がかかる。東芝も、さらに何度か変革→失敗を繰り返しながら時間が係るだろう
・ポイントは、「古くて大きな会社が不連続な変革をできるか?」だが、しがらみが大きい会社ほど難しい。冷徹な決断ができるリーダーが必要。車谷さんがそれをできるかは?少なくとも情理型のリーダーではなさそう

●ではなぜソニーは大復活できたのか?
・吉田さん、平井さんの時代に、事業を自由に入れ替えらえれる「普通の会社」になった
・「創業者魂ガー」という老人たちがいなくなったのも大きい